STEP3 相手の"好き"を判断するものさしをつくる
Q. 相手が自分のことを好きではなかったら?
A. 付き合う前に"両想い"の見極めが必要です
第10話 その料理、ちゃんと味見しました?
2018.09.19
お客様へおもてなしする料理のメニューが決まって、それを作るためのレシピも完成しました。
あとはレシピどおりの料理を作るだけ。料理が出来上がったら、いよいよお客様の待つテーブルへ。お客様はこれできっと喜んでくれるはず。
最初の相談から約一月半が経過。有楽町のイタリアン・カフェで第3回目の相談。
前回の手直しの結果、マリコさんの理想のパートナーのレシピは、
- ①オタク的なアーティストじゃないと嫌だ
- ②目に見えるものを作る仕事をしていないと嫌だ
- ③人望がないと嫌だ
となりました。 嫌いなことについては、残さなくてもクリアできそうな項目ばかりだったので、大幅に魅力の方に集中した内容。
更には、これに当てはまっていて、前から気になっていた男性が既に身近にいるとのこと。その人と本気で付き合いたいと話が盛り上がり、マリコさんは意気揚々と決意表明。
「実はその彼と今度、会うんです。その時に思い切って告白したいです!」
なんだ、私に相談するまでもなかったじゃん。でもハッピーエンドだからまあいいか。
本当に良かったね。これでもう大丈夫! 付き合ってしまえば、その後結婚するのは時間の問題。おめでとう!
あとは結婚後も仲良くする秘訣なんぞをお話しすれば、私の役目はこれでおしまい。めでたし、めでたし。
と、私は本気でそう思っていたのですが、マリコさんはどう見ても全然満足していないご様子。
「彼の存在に気付けたこと自体は嬉しいんですけど、彼が私のことを好きかどうかは分からないですよね? それに、結婚願望があるとも限らないし」
私は最近、周囲の人達の恋バナを聞いていて、一抹の不安を感じるようになりました。
というのも、高校生の時に初めて付き合った彼氏のことを学年中に言いふらされ、「女友達って結構面倒くさい」と思って以来、人と滅多に恋愛の話をしなくなっていたのが、結婚後ゆとりが出来たのをきっかけに、最近やっとそういう話題に改めて参加するようになった。という事情のため、これまで他人の恋愛について深く考えたことが無かったのです。
はて? 自分とは何かが違う。何なんだ、この違和感は。もしかして、レシピの完成がクライマックスではない?
不安はここへ来て見事に的中。私はやっとこの違和感の正体が何なのかが分かりました。
本人が一番好きなもので、かつ、飽きない味というオーダーどおりの料理を出したのに、お客様は満足していない。なぜ? 考えられる理由はただ一つ。
もしかしてアナタ、味見もしないで出したのかい??
「それはもちろん、本当に料理の話なら味見ぐらいしますよ。でも、恋愛で"味見"って何ですか?」
決まってるじゃないですか! ここで言っている味見とは、「相手が自分と両想いかどうかを見極める」ということ。理想のパートナーのレシピどおりの彼が両想いなら、その人と付き合えば結婚は時間の問題でしょ? 両想いかどうかを見極めてから、付き合えばいいだけです。相思相愛で、お互いに離れられない関係になれば、出会った時点で相手に結婚願望があるかは問題にならないのではないでしょうか。
初対面の彼を見て、両想いを見極めずに付き合おうとするのは、大事なお客様に初めて作った料理を味見もしないで振舞うのと同じことです。
得意分野のマリコさんなら、完成目前まで来て、そんなあさはかな行動とります?
ここまで話してもなお、マリコさんは不安顔。これが私の違和感の正体。まさかと思いながらも、恐る恐る質問してみました。
「もしかしてマリコさん、初めて会った男性が自分と両想いかどうかが分からない??」
「そんなの当たり前ですよね。そんなことが分かったら、みんな苦労しませんよ。」
・・なるほど。よく分かりました。
だとすると、レシピ作りよりも、味見の仕方を習得する方が重要かもしれません。なぜなら、レシピは一人で頭の中で考えるだけで出来てしまいますが、味見は実践の勘。場数を踏んで、研ぎ澄ますことで鍛えるものだからです。
でも大丈夫。あなたも、どうせすぐに出来るようになります。
私は最初に言いました。「得意な能力を恋愛用に変換して下さい」と。つまり、ゼロから習得するわけではなく、変換するだけです。
というわけでここからは、味見の仕方という特定の技術の習得、初対面の男性が両想いかを見極めるにはどうすればよいか、の話をします。